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硝子花弁のとーしろ目線

雑食系オタクの素人目線で、好きなものを、好きなだけ

小説カゲロウデイズⅦ 感想

ニコニコ動画でムーヴメントとなった「カゲロウプロジェクト」の小説の最新巻が発売されましたね。表紙はアザミと黒いコノハが飾り今までの白ベースから一変、黒一色で構成されています。作者コメントや後書きにもあるように次巻で最終の予定らしいです。

今回の物語の感想をネタバレ含みで綴ります。一部過激なファンやアンチが怖いのが正直な本音ですからなかなか大きな声では公言しませんが、私は楽曲、MV、物語性含めこの作品が好きです。

 

 

 

 

 

木戸つぼみと夏の日の大詰めの物語

この1冊を大きくまとめると「キドが主役の1冊」です。サブタイトルは「チルドレンレコード」「失想ワアド」「シニガミレコード」で構成されています。チルドレンレコードは、主観となる人物の団員ナンバーがタイトルの後に明記されているので、誰から見た場面なのか分かるようになっています。ようやくこの夏の物語も佳境ですね。前巻ではコノハ(遥)に殺されたシンタローがカゲロウデイズにて遥と再会し、遥視点の2年前の物語が語られましたが、「失想ワアド」以外での今回の時間軸は恐らく前巻の前、5巻でエネが本来の「榎本貴音」の肉体を取り戻した後になりますね。

チルドレンレコードでは、メカクシ団が「カゲロウデイズ攻略作戦」を始動させ敵のアジトである、シンタローや遥、現在ではモモが通う高校に潜入し、「失想ワアド」では幼少期のキドの半生とキドが呑まれたカゲロウデイズ内での出来事、「シニガミレコード」ではカゲロウデイズから出てマリーの体に憑依したらしいアザミが目が冴える蛇が取り憑いたコノハと対峙します。

ひとつずつ解釈してみようと思います。

 

失想ワアド

母を亡くしたつぼみは、父親の元へ引き取られます。しかし、つぼみは愛人の子であったため、使用人をはじめとした家の人たちから快く思われていませんでした。そんな中でつぼみに変わらず接してくれたのが、異母姉である木戸凛でした。引き取られて半月近くが経った7月のある日、つぼみは中庭でバイオリンの音色を聴きます。そのことを凛に話すと「家でバイオリンを弾ける人はいない」と言われ、その日の夕食の席で凛の口から父親にそれを知られると父親はつぼみの母親のことをポツリと呟きます。凛からしてみれば、浮気相手の女の人の話を娘の前で話し、それに動揺したのかナイフを落とした凛を見たつぼみは、自分さえいなければと悲しくなり堪えきれずその場から立ち去ってしまいます。つぼみを追いかけてきた凛を拒絶しようとしますが、凛は「お前は私の世界で、たった一人の可愛い妹だ」と抱きしめます。

それからひと月、一緒に外出したつぼみと凛は、気付けば自分たちが囚われてしまっていました。食事に何かを盛られ気を失っている間に囚われたらしく、凛だけは枷で身動きを封じられ、扉には鍵がかけられています。家の地下室だと思い至ると、そこに血に染まり出刃包丁を持った父親が現れます。父親はつぼみの母親との出会いを語り、バイオリンの音色を奏でていたのは父親だったことが明かされ、亡きつぼみの母親との思い出と恋情に囚われた父親はつぼみ以外の全てを消し去ろうとします。姉に手をかけようとした父親から姉を守ろうと、つぼみは部屋の中にあった甲冑の槍で父親を刺してしまいます。しかし、轟音と共に家は炎に包まれ、凛の枷を外すことは出来ず、凛を守るためとはいえ父親を手にかけたことで生きることを恐れたつぼみは、凛と共に業火に呑まれます。

このエピソードで、つぼみが過去はどもってしまう子であったこと、彼女が音楽が好きな理由が明かされます。キリがいいので、カゲロウデイズ内でのつぼみの物語は後述します。

 

チルドレンレコード

シンタロー視点では、カゲロウデイズ攻略作戦前のキド、カノ、シンタロー、貴音の体に戻ったエネのやり取りが描かれます。シンタローがアヤノに化けていたカノの「何一つ気付かなかったお前のせいだ」という言葉と遥とアヤノの死、貴音の失踪に傷つき引きこもるようになったことが隠すことなく明かされています。

モモ視点では、カゲロウデイズ攻略作戦のためにエネのハッキング能力でセキュリティを落とした高校へ潜入したシンタローたちに外部から敵が来ないようにヒビヤと共に高校前に待機し、自身の「目を奪う」能力を最大限開放して全てのものの目を奪います。アイドルであるモモが高校前にいることはエネによって拡散されたため野次馬も集まり、、外部から敵も手出しできないことでしょう。ヒビヤの「目を凝らす」は訓練したら制御できるようになり、高校の見取り図を書き出しさらに内部の敵の動きをシンタローたちに伝えます。

カノ視点では、高校内部のシンタローとカノとコノハ、キドの「目を隠す」で姿を消したキドとマリーが「目が冴える」蛇の自我が表に出ているケンジロウと対面します。キドの能力とマリーの「目を合わせる」能力でケンジロウの動きは止められ、奇襲は成功したかのように思われましたが、カノたちの目の前でコノハが崩れ落ちます。

キド視点では、コノハの姿が黒いコノハへと変貌しシンタローを殺害します(前巻での「……だって僕に×されて、君は死んだんだよ?」という遥の発言はここからかと思われます)。そして、変貌したコノハによってキドは拳銃で撃たれてしまいます。

 

シニガミレコード、そして「目を隠す」と約束

カゲロウデイズ内でつぼみはアザミと出会います。そこでアザミはシオンとマリーを呑み込んだ後のカゲロウデイズの実態を、つぼみはカゲロウデイズとアザミと能力について知ります。「目を隠す」と適合したつぼみは外の世界に帰れるのですが、姉の死と父親を殺害した自責から生き返ることを拒否します。そして「一人じゃ辛い記憶に耐えられない」とこぼします。そんなつぼみに、アザミは「目をかける」能力でつぼみに「目を隠す」能力の本当の使い方を教え、つぼみは「向こうでアザミの孫に会ったら仲良くする」と約束し、現実世界へ戻ります。

コノハに撃たれたキドは、ようやくアザミのことや辛い記憶を思い出し、アザミの孫であるマリーに言葉を、意思を届けようとします。彼女の意思が届いたのか、すでにシンタローが死んでキドも死んだことによるのか、カゲロウデイズが開きアザミが現実世界へ舞い戻ってきます。マリーの体を借り、「目が冴える」と対峙し

……安心しろ。お前の仕立てた下らん物語など………ここで全て、終わらせてやる

と啖呵を切ります。物語はここで終わっています。最後のエピソード「チルドレンレコード sideーNo.0ー」でヒヨリ?とアヤノ?の会話から、アヤノもついに動き出すようです。アニメの時みたく現実世界へ戻ってくるのでしょうか?

 

ここからどうなるのでしょうか。アニメとは展開が違うのでしょうか。漫画とはすでにストーリーが分岐していますし、サマータイムレコードMVでは本編以降だと思われる姿の遥が登場するので、アニメでは結局生き返れなかった遥が現実世界に戻ってくるのではと思います。じゃないとMVの遥によく似たあいつ誰だよ、って思いますし。

どんな結末が迎えられるのか、楽しみですね。

ちなみに、今回セトの出番は無しです。能力が能力でもありますが、彼も不遇ですね。

 

あと本当に個人的な感想ですが、1巻時のイラストと7巻時のイラストではかなり絵の雰囲気が変わった気がします。4巻あたりから変化が出ているような……線の書き込みの量が増えました?1巻より絵の雰囲気が好みになっていて個人的には嬉しいです。楽曲知らなかった頃に一度だけ小説カゲロウデイズ1巻を手にする機会があったのですが、あまり表紙イラストと口絵がピンとこなかったので読まなかったのです。お手元に小説カゲロウデイズ1巻をお持ちの方は、最新巻と表紙絵を比べてみてください。随分変わったと思いませんか?

 

カゲロウデイズ VII -from the darkness- (KCG文庫)

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